坂本洋之介のブログ

本を読んで日々思ったことを綴っていきます

上を向いて歩こう

打ち合わせが終わってお茶を飲んでいる時、その会計士さんは「時折は空を見上げていますか」と、私に問いかけてくれた。 私の打ち合わせ態度をみて、余裕を持っていない人だと思ったのだろう。 確かに、ここ暫くは業務に追われて余裕が無かったし、仕事の移…

吉良上野の立場を読んで

菊池寛の「吉良上野の立場」を読んだ。 赤穂浪士の討ち入りを吉良上野介の立場から描いたものだ。 赤穂浪士は義士と言われ、討ち入りした四十七士は切腹となったが多くの同情と共感を集め、その子孫も後々他家に登用されたと聞く。 古くから何度も演劇、映画…

立春の卵と思い込み

卵が立つ、ということを恥ずかしながら最近まで知らなかった。 コロンブスの卵の逸話ではなく、時間をかけると卵は先端を潰さずとも立つというのである。 この話を最近知ったのは、深代惇郎の天声人語にある「立春の卵」というコラムを読んだからである。 深…

漱石先生の書簡について

私の漱石に対する勝手なイメージが変わったのは、「漱石先生の手紙が教えてくれたこと」という岩波ジュニア新書に引用されている漱石の手紙を読んでからである。 それまで私は、漱石の人柄についての知識がなく、なんとなく気難し屋で、取り扱いの難しい人と…

母の玉子焼きについて

玉子焼きが好きである。 居酒屋で食べるような綺麗な黄色の「だし巻き」ではなく、無骨でゴツゴツした焦げ目のついている玉子焼きだ。 関東風の甘いものはもってのほかで、関西風の塩味や醤油風味でなければならない。小さい居酒屋で、親父が実際に焼き上げ…